空と海のあいだに

釣りが億劫

そんな私の重い腰を上げさせたのは１号の言葉だった


「パパ、、、今度ジギングがしたい」


今までやらされて来た感が強い１号だったが、自分から誘うのは珍しい

腰はどんなに重かろうが、息子の為なら喜んで船を出そう

久しぶりに男２人で冒険だ！



ところが、、、最近寂しがりやな２号ももれなく付いてきました

大人なら２人までだけど、この子らの体重だと問題無し


と言うことで、親子３人で初釣りです

年末に調整していたエンジン、１発始動！流石HONDAです



さあ、お宝２人を乗せて出発です



今は静かな海ですが、風は午後から強くなる見込み

今日は無理もできないし、２号は女の子

あまり負担をかけないようなルートで進めます



本命ポイントに向かいながら、浅場もチェックしていきます

ベイトの反応はあるけど、ベタっとしてて危機感の無い感じ

でも取りあえず、チェック


どんなに爆釣だった場所でも、反応が無い時は粘りません

限られた一日の中で調子の良い場所を速く探す為です

移動しながら、どんどんチェックして行きます


反応の無いまま、本命ポイント到着


本命と言えども反応は良くない

良くないと言うか、全くベイトの反応がありません

登録ポイントを足早に全てチェックしても同じ


ならば潮目と海底地形を頼りに新たな場所を探って行きます


狙うは根魚

奴らはベイトを追っかける以外、ただのフラットな場所にいるとも思えない

かならず待機している場所があるはず


そう、餌が通るであろう場所に




最初にヒットしたのは１号！


よおし！、頑張れ！




２号も見ているからか、いつもよりはりきっている様子


パフォーマンスを重視したのか、かなりのオーバーアクションで巻き上げる、、、マズイ、、


ポンピングの際テンションを緩めすぎたのか、案の定フックオフ、、、


苦笑いしながらも、２人でケタケタ笑っている、、、楽しそうだ＾＾



水をさすのは宜しくないけど、でもここは言っておかなくては、、、

「はやくジグを落として！また食うから！」

チャンスを逃さないように優しく喝を入れます


１号も気を取り直して、頑張ります



そして、今度は私にヒット！

ところがバラす、、、、ハハハ、、、笑って誤摩化します



次は１号にヒット！


「テンションを緩めるなよ！」

釘をさす


ところが魚は下の突っ込んだかと思うと、上に走ったりしてテンションが緩くなる

あれ？竿先をチョンチョン煽って首をかしげながら１号は戸惑っている

また突っ込まれ「あっ、まだ居た」

ファイトを再会するも、しばらくしてフックオフ、、、


う〜ん、、、、昔の私を見ているようで歯痒い

でもここはお勉強、、、何も言わないでおきます



ただ、ここは急流な１００m

大人でも辛い場所

ハイピッチショートジャークでよく頑張っている

それだけでも誉めてあげたい



ちなみに、他のジャークは全く教えていない

何故か？

それは自分で釣り方を学んで欲しいから


１号は数多くの魚を釣って来たが、まだ自分で考えて魚を釣った事が無い

魚がどこに居て、どこにジグを落として、どんな動きをさせて、どこまで誘うか

食わなければ、今度はこの動きで

ダメなら今度はこのジグで


やる気があって毎週連れて行ければ、そんな事は自然に理解すると思う

でも経験がなさ過ぎる


ラインの結び方も知らないのだ

前日に結び方を教えた


２年前は泣きながらやっていた

今でも泣きながらやっているが、、、ただ変わった所は、放っといてもできるまで頑張っている事


出来た！と言ってはチェック、、、でもおしい

できない理由を図解や実際の手順で教える

でも、また間違う

それでも怒らずに教える

おかげで、風呂にも入れず飯も食えないけど、そんな事はどうでもいい


私には１号のやる気が嬉しい



さあ、自分の一匹を釣るまでは何度でも付き合おうではないか



そんな思いで、シャクっているとミスバイトしながらもゴンゴンアタックするヤツがいた

こんなに上まで食ってくるのはきっとアカジン

ズシッと乗った所で合わせる


無理して上で食ったからなのか、そんなに突っ込む元気がない


でも小さくはない、、油断せず慎重に巻き上げる



ボガグリップ計測で６ポンド（2.7K）


数十キロのアカジンも夢だけど、何度釣ってもこいつは嬉しい！

そして生きているアカジンは最高に美しい

どんなに高値で売れても決して売りたくない貴重な魚です

食べる為に釣りをする、食べる分だけ釣る

そのスタイルは今年も変わらないと思う



しばらくして風が強くなった

もうここに居るのも限界なので、安全なラインで岸よりに向かいます


北風は流石に寒い

気を付けてはいるが、叩く船底で飛沫があがる

それで更に寒くなる

でも子供達は何も言わず頑張っている


気づけば２号は頭をこっくりこっくり、、、、

船を止めて１号と場所を変わり、横にさせます

こう言う時は暖かい船内でもあれば、、、と思ってしまうがキャビン付きは買えないーー；


子供の頃だが、親父が養殖場で働いていた関係で、でっかい発泡スチロールが転がっていた

それを川に持ち込み、またがって竹で進めながら遊んでいた

不安定だけど、自分でバランスをとり自分で進路を決め、一通り楽しんだ後、岸まで戻る

安定感のあるデッカい船も魅力的だけど、この小さいPF１３にはあの頃の楽しさがある

負け惜しみでも何でも無い、私はPF１３が好きだ


だからごめんよ、、、寒くて狭いけど、我慢しておくれ



船をゆっくり進めながら風の影響が少ないポイントを探した

そこには僅かなベイトの反応

そして魚探には映らないけど、多分小さな根とか人工のストラクチャーがあると思う


フラットな場所でも事故的にベイトにぶつかる事はあるけど、大半はどんどん移動しているから判断できる

隠れたポイント、、、みたいな

こう言う場所を見つけるとほんと嬉しい



そこでピンポイントに流してヒット！


久しぶりのカンパチでした


可愛らしい顔をしながらも立派なフィッシュイーター

引きヨシ、見てヨシ、食べてヨシ

三拍子揃った最高のジギングのターゲットです


なにやら寒さと激しい移動で疲れた様子の１号も、これを見てやる気が出たようだ

またロッドを握り、ジャークを始める

しかし後が続きません


ここで一言アドバイス

「ジグを換えたら？」


私が適当に付けたジグを使っていたので、自分で選んで換える事を進めた

でも彼は「これでいい」と言う

？？？

新しもの好きな子供、普通なら喜んで換えるハズだけどな、、、、


それでも、換えたくなったらこれで変えてな、、、とスプリットリングオープナーの付いたペンチを渡して様子を見ていると、なんと昨日苦労して結んだリーダーから切断している

自分専用のジグを持っているのに、換えないなあ、、、って思っていたら換え方が分からなかったらしい

今まで私が換えて上げてたから仕方ないですけどね＾＾；


ジグを一つ選んでもらって、一から丁寧に教える

モタついて要領を得ないけど、ここはできるまで見守る

また半べそをかいて涙ぐんでいるが、ここは見ないふり、、、


外して付けるまで５分くらいかかっただろうか、、、それでも自分でできた事に満足のようす

さあ、後は釣るだけだ


ところが暫く探り続けているけど、肝心の反応がありません

今日は渋いと覚悟はしているけど、ここまで反応が無いのは精神的にも辛くなってきた


北風はだんだん強くなっている

風邪をひかせてもまずい


帰ろうか？と聞いてみたが、やっとやる気をだした１号

まだやりたいらしい


潮止まりも迎え、状況は厳しいけどもう少し頑張ります


点々と探り、朝一のチェックポイントに戻ってきた

もうこれ以上は帰るしかありません

これが、最後


そして、ドラマのお約束のように１号にヒット！



「これでいい？」今度はアドバイスを聞きながら慎重に巻き上げる


時に頑固も必要だけど、素直になると言う事はもっと大切だ



小さいけど、自分の意思を入れたシステムで釣り上げた初カンパチ


言葉には出さないけど、満足そうな表情



まだ時間はあるけど、私の体力も限界

帰ります



帰りますとは言ったが烏賊も狙いたいので、ちょっとだけボートエギングをした

でも釣れたのはイシミーバイだけ


そこで、また要らぬ考えが、、

この子らは生きた魚を捕まえきれるのか？

訓練も兼ねて、１号に生け簀に入ったイシミーバイを捕まえて海に逃がすように言う


興味津々の２号、妹の前では強がってみせたい１号

でも捕まえられない

キャーキャー、ギャーギャー、、、、へっぴり腰の１号

良いところを見せたいけど、、、やっぱり難しいらしい


もうちょっとこの駆け引きを見ていたいけど、、、




コツを教えると、、、ほら簡単でしょ？

２号があっけなく捕まえる

１号の立場なし、、、（涙

世間に出ると、こう言う事は良くある、、、頑張れ




釣りをしている時の私はいつも童心に還って楽しんでいるが

こう言う場面で親になったんだなぁと実感する

と言うか、こんな所でしか自覚していない＾＾；



今回釣りはしていないけど、２号も楽しかった様子


またいつ誘ってくれるのかな？

今度は晴れた日がいいね